もう少しだけ書きます。
「コンビニ人間」の中で、主人公が他人の喋り方や趣味趣向を真似ることによって安定した“仮の自分”を作っていく描写があります。
この主人公は意図的にそれをやっています。

他人の喋り方などがうつったりすることはよくあること(心理学という学問的には、好意がある人の言葉はよくうつるそうです)だし、方言の伝承とかもこの“うつる”作用によって行われてきたのだと思います。一概には悪いことではないし、むしろいい面もあるように思います。

わたし自身も他人の影響を受けやすいので、よくうつっていました。高校くらいのときに友人の喋り方がうつっていて、母親に「気持ち悪い喋り方をするな!」と叱られた(その友人には失礼ですが)ことを覚えています。
そのくらいは全然いいんですが、アカンなぁと思ったのは20代の半ばの私のこと。
今思えば、この頃のわたしは“自分の言葉”をすこし見失っていたのかもしれません。

某レンタルショップでアルバイトをしていたその頃、音楽に詳しい先輩がいて、無知だった私に様々なことを教えてくれた。このことは今の自分の土台になっていると思うし、ものすごく感謝しています。
いけかったのは、わたしの受け止め方だったなぁと思います。彼に教わったことを自分が元々持っていたものかのように勘違いしていたというか、あたかもそれが“自分の言葉”であるかのように振舞っていた気がします。
彼が“いい”といったものはよくて、彼が否定するものは自分も否定したり、それは無意識のうちにやってしまっていたことでした。
そういう人間は“自分の言葉”を無くしてしまいます。
彼がバイトを辞め、わたしも辞め、しばらくすると、音楽や物事に対する捉え方やスタンスに迷いが生じていることに気付きました。彼に依存し、自分で考える力が弱くなっていたんだと思いました。

「音楽を聞くことと、本を読むことは一生やめられへんやろなぁ」と彼は言っていた。

本当の意味で同感だなと今は思う。
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2017.04.18 / Top↑
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