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読書感想文。

『死都日本』という小説を読みました。
ネタバレありです。ご注意を。

小松左京の「日本沈没」のような、所謂ディストピア小説。
600ページほどのボリュームですが、たぶんスルスルっと読めるタイプの本です。

1万年ほど前に九州の縄文人たちを滅亡させた“じょうご型カルデラ火山の破局的噴火”が描かれています。
“ディストピア”とは書きましたが、実際にこの噴火は1万年周期ぐらいで起きているもので、データ的にはこの先100年で1%の確率で起こる可能性があるとのこと。
まず、被害の試算がえげつない。
噴火から数分で鹿児島あたりの街がいくつかまるごと消滅。350万人が数十分の間に死亡する。
“火山の噴火”と聞いて、思い出されるのは最近では御嶽山や雲仙普賢岳、三宅島とか、そんな感じだったけど、この小説を読んでその感覚は吹き飛んだ。
ポンペイのヴェスヴィオ火山とか、日本の古事記などにある火山の描写とか、過去にあった文明を破壊したような伝説的な出来事も交えて、ここでは言及されている。
火山大国に生きているんだという事実と、忘れかけている自然への畏怖を思い起こさせてくれる作品。

被害の話に戻ると、まず直接的に噴火による爆発と溶岩でその周辺は壊滅する。そして、火砕流、土石流、火砕サージ、ラハール、最後に火山灰。
とりわけ、“地震で滅亡する国はいまだかつてないが、火山で国は滅亡しうる”という話は、“火山灰”が大きく影響してくる。
九州でこの噴火が起こった場合、日本国土で火山灰の影響を受けない地域はないに等しい。北海道と沖縄がマシなくらいだそう。
四国や関西では火山灰の重みにより、家屋が倒壊する。早急に屋根に積もる火山灰を下ろさなければならない。そして、火山灰は空を覆い、空前絶後の凶作を引き起こす。やがてそれは、世界的な食糧不足も招き、穀物は高騰し奪い合いがはじまる。
多くの日本国民が難民となり、日本の人口は2000万人ぐらいに激減する。さらに円が一夜のうちに暴落し、皆の預貯金は10分の1の価値に成り下がる。
などなど、絶望的な展望が次々と書かれている。

宮崎に住む火山学者・黒木とその友人の新聞記者・岩切の脱出劇を中心に、日本政府の対応、アメリカや周辺諸国の動向などを並行して、物語は進む。

小説の中の日本の対応は、“火山オタク”である学者・黒木の知恵もあり、これ以上ないくらいに成功を収めるのだけど、それは事前にこの噴火が起こったときのシミュレーションをしていたからだ。
実際、100年で1%の確率のこの災害に対して、火山学会かなんかが、政府に「ちょっとは対策しといた方がええんちゃう?」と申し出たことがあるらしいけど、政府の回答は「そんな起こるかわからんもんに予算は計上できない」ということだったそう。

2002年発表のこの小説ですが、火山で誘発される地震と津波のこととか、原発の話とか、考えてる人は考えてるんやな。やはり火山だらけのこの国に原発はヤバイなぁと改めて思った。

日本の政治の闇の部分とか、アメリカとの関係とか、中国との関係とか、その辺も結構突っ込んだ描写があって、とても興味深かった。

いつか起こるかもしれない災害。自分が生きているうちには起こらないかもしれないことかもしれないけど、起こった時にどれだけ落ち着いて行動できるやろかと思いながら読了しました。
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2017.11.17 / Top↑
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